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2013年4月21日日曜日

異性関係を超越したプラトン的ソウルメイト

 カバは村上春樹の新著『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』をまだ読んでいない。『1Q84』と同じく図書館から借りて読むことにしたいと思っている。
 毎日新聞に書評がのった。書評を読んで、カバの胸にも新作へ熱い思いがこみあげてくるのだった。新作についてはここでは書かないが、鴻巣友希子さんの書評の冒頭を書き写す。
  「文学には異性関係を超越したプラトン的ソウルメイト(片割れ同士のような魂の友)が描かれてきた。トリスタンとイゾルデ、キャサリンとヒースクリフ。その調和は完璧であるほど生身の世界を離れ死に近づく。村上の小説でも『1Q84』の天吾と青豆、『国境の南、太陽の西』の「僕」と島本さんなどがそれに中るだろう。こうした深い絆を持ちうるのは男女二人とは限らない。『ノルウェイの森』では、直子とキズキというカップルに主人公が加わり、「三人だけの小世界」を形成し、最新作ではそれが五人の男女混合ユニットになった。主人公を除き姓に色が入っており、アカ、アオ、シロ、クロと呼ばれるが、ミスター・ブルー、ミス・ホワイトなどとも書かれ、村上もよく知る米作家ポール・オースターの『幽霊たち』を即ちに想起させる。二人連れで街を歩く恋人を目撃する場面など、下敷きにした部分もあるかもしれない」
 カバもこの「異性関係を超越したプラトン的ソウルメイト」といえる魂の友の関係を続けている知り合いがいる。ひとりは天津にいる大学教授で、中学の同級生とそうした関係にある。彼女は56歳になる天津の医科大学の医師であり、その夫は政府関係の機関で働くテクノクラートで北京に単身赴任している。子どもは男の子一人で、天津大学を卒業後、韓国ソウルに留学し、修士号を取得したものの、息子は天津に戻って来てからは、妙に反抗的で、母親が見つけてくれた職場をもすぐにやめ、その後は働くこともなく、家に閉じこもりッきりで、社会とは断絶している。彼女は自宅の他に、大学に近い28階建てのマンションの一室を借り、朝夕のラッシュを避け、平日の勤務と夜勤をマンションを基軸にして仕事をしている。夫婦で溺愛して育てたひとり息子が、何があったのか帰国後に引き籠りになったことで、彼女はそれを自分のせいだと自責の念にかられている。大学病院の医師の仕事にかまけ、満足に息子の相談役にも、面倒もみたことがなかったのが、息子の引き籠りの原因であると思っている。
 彼女は悩む。もはや夫婦関係もなく、単身赴任中で、息子ともおり合いが悪い夫と離婚しようかと真剣に迷っている。医大教授のポストをなげうって、マンションから家に戻り、息子と向き合って生きようかとも考えている。しかし、相手も家族があり、離婚してまで、その相手といっしょの生活は望まない。尊敬し、信頼し、ずうっとこのまま、友人で居ていいと思っている。でも、好きでたまらないという。
 もうひとりの北京の友人とその北京市の政府高官との間の関係も、異性関係を超越したプラトン的ソウルメイトの関係だと思う。肉体関係を伴わない新しい不倫関係が中国の教養のある中年男女の間では普通なのだ。一人っ子政策で、産後の夫婦生活が希薄になったせいなのかもしれないと思う。
 どちらの友人も、相手を想う気持を自分の胸におしとどめ、一生涯にわたって、プラトン的ソウルメイトの関係を維持しようとし、現在の関係に満足し、友情を持続しようとしている。

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