早いもので、カバの三男は四月一日、27歳の誕生日をむかえ、就職して丸一年が過ぎた。競馬の騎手、ピアニスト、ロックシンガー、新聞記者、弁護士そして司法書士と夢と希望はくるくる変わり、思いを遂げられないまま、このまま一生、ニートで終わるのかとカバは思ったが、昨年、地方公務員となり、はたから見てもどうにも変な公務員だったが、どうにかこの一年は欠勤するどころか、有給休暇も一杯繰り越して乗りきった。
誕生日の夜、本人は食後のケーキを食べながら、つくづく「自分は公務員に向かない」と述懐していた。一年間、ご苦労さんとカバは言った。それでも三男は、2日の月曜日はいつもより早めに徒歩ででかけた。冬場はバスの時間があてにならないので、三男は歩いて通勤している。夏場は自転車通勤。2.4キロあるので、自転車なら通勤手当が2,000円。徒歩なら通勤手当はなし。1時間かかろうが2時間かかろうが、交通用具を使用しない通勤は手当なしなのだ。面白い。法律を学んだ男だから文句もいわないで歩いて通っている。わずかな年金しかもらっていないカバと女房を扶養家族にしているのだからたいしたもんだと想う。一年と少し前の三男の姿と現在の背広姿を見比べてみるとその変貌ぶりに驚くばかりだ。

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