カバは友人を救えなかった。友人が家人にも、カバにも本心を告げずに七年前に自ら死を選んだのは、なぜなのかと考えると心が折れるくらいなのだ。友人とカバは十歳で永久の友情を誓った仲なのに、どうして友人はカバに別れも告げずに先に逝ってしまったのだろうか。
四十四年間、カバの心に大きな足跡を残した友人に対して、カバは何をしてあげられたのか。苦しいとき、哀しいときにこきにこそ、友人というものは存在価値があるはずなのに、カバと知り合ってからの年月のなかで楽しかったこと、思い出しても心が安らぐことがひとつもなかったのだろうか。そのことを思うと息が止まりそうになる。
友人が結婚して子供が生まれたとの知らせのとき、カバは「親となった以上、子が学校を卒業して社会に出るまでは絶対に死んではならない」と言った。友人は「わかったよ。絶対に死なないよ」と答えた。
カバもときどき自分のことを否定したくなるような気持ちになるが、それでも家族や友人のことを考えて生きてきた。友人の子が大学院から県庁に就職したときの友人のうれしそうな顔が忘れられない。
しかし、これも天命かもしれない。カバに非があるにせよ、死んじゃったものは生き返らない。いま、これからどうするかだ。
もう一人の友人が病気になった。重い病気かもしれない。かけがえのない友人を失いたくない。だから何があろうと、もう一人の友人を大事にしたい。治ってほしいと祈るばかりだ。

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