カバは8月2日、友人の法学士と大家の不動産屋と連名で、青森市長へ「国の高速道路無料化制度の利用のための要望書」を提出した。しかし、ねぶたが終わった8日になっても、市からは何の音沙汰もない。
カバの要望書はこうだ。市民の多くは、国の制度の政治的な背景は知らないため、聖人君子たる青森市のやりかたに賛辞の弁をたれることはあっても、市の政策を非難するものはいない。そのなかにあって、カバたち三人は少数意見だと知りながら、「役所のやることに間違いはなく、市長の判断こそまさに良識ある判断だ」と信じて疑わない市民へ、涙ぐましいまでの努力で「今回の市のとった対応には問題があり、他市町村の住民に比べ、あまりにも不公平だ」と訴え続けている。
ここに、カバたちの要望書を紹介しよう。
「 平成23年8月2日(火)
青森市長 鹿内博 様
「市民と共につくる 市民のための市政」を実現する会
代表 カバ、不動産屋、法学士
連絡先 青森市古川2-10-11 2階
「原子力防災研究所」内
電話 017-776-5832
東日本大震災に係る高速道路無料化の為の被災証明書について(要望)
貴職は、「青森市は東日本大震災における直接的な被害はなかったものの」「親族が東日本大震災により死亡・行方不明又はその住家が全壊半壊した青森市民」を被災者とみなし、東北地方の高速道路を発着とする利用を無料化するための被災証明書を交付することとしました(以下「みなし被災者制度」という。)。英断です。自分自身は被災はしていないが塗炭の苦しみの中にある被災親族を見舞いたいと願う青森市民にとっては朗報です。国は被災者本人にのみ高速道路無料利用を認めるという立場ですが、直接被害はなくても精神的な間接被害をも被災とみなし高速道路無料化のための被災証明書を交付するという貴職の英断はこれに風穴を開けるものです。北は北海道、南は沖縄まで、被災親族を持つ全国民が高速道路を無料利用し被災親族を見舞うことが可能となりました。被災地の復旧・復興支援に大いに寄与するものと思います。繰り返しになりますが、貴職の英断に感謝したします。
青森市地域防災計画【地震対策編】(平成18年度作成)172頁の「9.被災証明の交付体制の確立」に規定する被災証明(以下「防災計画の被災証明」という。)は、直接被災者である青森市民からの申請に基づいて、貴職が当該市民の被災を証明するのが原則であり、今般貴職が創設した「みなし被災者制度」はこの原則と著しく異なる特殊例外的な制度ですが、私達は、この制度の創設については何らの異議を差し挟むものではありません。
青森市地域防災計画【地震対策編】(平成18年度作成)の趣旨・規定に則り、「防災計画の被災証明」制度を早急に広報し青森市民に周知を図り、青森市民を除く青森県内外の日本国民の多くが恩恵を受けている「東日本大震災被災者高速無料利用制度」を、青森市民も利用できるよう、「防災計画の被災証明」申請書受付及び証明書交付事務を行うよう再三再四にわたりお願い・要望をしてきたものですが、貴職は私達の切なるお願い・要望を何ら顧みること無く全く無視してきました。
新聞情報では青森県内でも停電による被災を証明事項として被災証明を交付している市町村が八戸市他数多く存在しています、青森県外の市町村でも数多く存在します。
しかし、貴職は頑なまでに「被災証明書について、市の基本的な考え方は、停電によって発行しません」(2011年6月29日開催市長記者会見質疑応答)、「今般の高速道路無料開放に関し、『停電を理由とした被災証明は行わない』ことについては変わるものではありません」(2011年7月5日開催市長記者会見)と主張していますが、一度も「停電が災害でない根拠」を示さないまま、「防災計画の被災証明」交付事務を実施せず、青森市民を不利な立場に放置したままです。これには到底納得できません。
八戸市などの市町村が停電による被災を証明事項として被災証明書を交付していることが間違い・違法であるとはとても思えません。間違い・違法であれば、東日本大震災被災者高速道路無料利用制度を作った国土交通省が見逃すはずはありません。当然、間違い・違法を指摘するはずです。国土交通省の作った制度を逸脱し、東日本大震災の被災者でない者が被災証明書を提示して高速道路を無料通行することは違法以外そのものです。許されるはずがありません。
青森市の「みなし被災者制度」は制度要件が厳しく、被災者が叔父・叔母・従兄弟の場合は、被災証明書が交付されません。自己負担で見舞いに行かなければなりません。しかし、「防災計画の被災証明」制度を八戸市などの例を参考にして運用すれば、このような場合でも救済される余地は格段に大きくなります。何も「一律の被災証明の発行」をすべきと言っているのではありません。被災した青森市民が自ら被災証明の申請をし、貴職がそれを審査し、被災が認められたものについて被災証明書を交付するという「防災計画の被災証明」制度に則った運用をすれば良いだけです。
貴職は、「本市は被災地ではない」(2011年7月5日開催市長記者会見)ことを盛んに強調されておりますが、東日本大震災による地震、停電、燃料不足等々で三陸地方ほどではないにしても多くの被害を受けたというのが多くの市民の率直な思いですし、商売をしている方は、今なお東日本大震災による直接・間接的な被害に苦しんでおります。また、青森県災害対策本部の東日本大震災による被害のまとめでも、文化施設、老人福祉施設、教育施設等で青森市の被害が報告されております。それでも貴職は「本市は被災地ではない」と市民感情を逆撫でするような発言を繰り返しております。貴職は何を以て「本市は被災地ではない」と断定しているのでしょうか。法律上の規定によっているのであれば、そういうべきだと思います。
そこで下記のことについて善処方をお願いします。青森市民の利益にこそなれ、決して違法なことではありません。
記
(1) 早急に「防災計画の被災証明」交付体制の確立をすること。
(2) 市民に広く知らしめ、被災証明交付事務を行うこと。 」
以上が要望書の全文だ。
カバたちの主張は、なぜ、平内町、蓬田村、外ヶ浜町が八戸市や三沢市と同じように、住民である被災者本人から証明書の発行を求められれば高速道路無料化の制度を利用するための被災者証明書を発行しているのに、青森市は市民に対して、そのような証明書を発行すればそれを使って悪用される恐れがあるからとして、わざわざ国が自治体の判断で弾力的にやっていいと、高速道路の料金の無料利用のための被災証明の発行を容認しているのを、頑なまでに「青森市に震災の被災者はいない」ので本人申請は受け付けないという拒否の姿勢をくずしていないのは、おかしいじゃないか、といっているのだ。また、市はカバたちの求めた本人申請を拒否する理由根拠も明らかにしていないのだ。
また、今回の高速道路無料化はあくまで被災者支援策であり、被災者本人の支援のための高速道路無料化なのだ。しかし、青森市は市民に被災者はいないと断定し、本人申請の門前払いをしておきながら、被災者でない市民のうち、他県市町村に住む二親等以内の親族が被災していれば、その親族を有する市民を被災者とみなして被災者証明を発行するという前代未聞の独自策をうちだしたのだった。これは、国が被災者本人の支援策と限定していることから制度の主旨を逸脱したものと言わざるを得ない。
すなわち、その被災親族は当該市町村で高速道路無料使用の被災証明をすでに受けており、その被災者の親族であり、実際に被災者本人ではない青森のごく一部の市民に対して、あらたに青森市としての被災者証明を発行して国の無料化の適用を受けさせようということは、被災した特定の家族が二重に恩恵を受けることにもなる。青森市が発行する被災証明はあくまで被災した被災者本人に対して発行されるべきものだからだ。
一昼夜をこえる停電によってどれだけの損害があったかをまったく調べもせず、ただ本人申請を受け付ければ、証明書発行事務で人出をとられ、他の一般行政事務に支障をきたすことを危惧し、それとともに発行に線引きをするのが難しくなり、結局、悪用されるのではないかと恐れるあまり、市民意見をまったく聞かないまま、また国及び県他市町村の意向にも耳をかさずに、「被災者本人に対する国の支援策としての高速道路無料化」を市民が利用する道を閉ざしてしまったのだ。
このことは、市長が掲げる「市民と共につくる 市民のための市政」と果たして言えるのだろうか。市長は8月に市民100人委員会を二度開催するとしている。どうして、7月4日の記者会見の前に「100人委員会」を開催して市民意見の聴取をしなかったのだろうか。スピード感をもって市政運営をすすめるとした態度はどこに消えたのだろうか。一部の市の職員の意見だけを鵜呑みにして政策を決定しているとすればとんでもない話だ。もしそうでないとするならば、市民の要請に応じて、政策形成過程の情報をきちんと開示して市民の前に明らかにすべきだと考える。
市長には、初心を忘れず、「市民とともに、市民のための市政」を最後まで追求してもらいたいとつくづく思う。そうでなければ、青森に明日はない、と暗澹たる気持ちになるからだ。

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