北の街社が毎月発行するミニコミ誌『北の街』がある。それの巻頭に「見た!聞いた!試した!喜怒哀楽ばなし」というコラムがあり、毎号カバも他の四人の匿名筆者とともに寄稿している。
八月号のコラムに玉鬘女史がまことに傾聴に値する苦言を呈しているので紹介したい。
「ある同人誌を読んでいたら「元旦の朝」という表現に出くわし、愕然とした。作者は辞書を引かないのだろうか。旦夕という語を知らないのだろうか。元旦とは本来元日(一年の最初の日)の朝のことで、元朝ともいう。が、いつの間にか元日の同義語として使われるようになった。言葉は生き物だから世につれるのは致し方ない。だから例えば初詣の取材中の新人アナが「元旦の朝から物凄い人出です」などと叫んでも目くじらを立てる気はない。どうせ送りっぱなし映像なのだ。だが物書きの場合は違う。無名で無収入であっても、同人誌という発表の場がある以上、書き手として初心と誇りを忘れずに、精進していただきたいものだ。」
この同人誌とは、カバが所属する同人誌のことだ。したがって、その同人誌に小説を発表して「元旦の朝」という表現をしたのもカバ本人である。かの女史からカバは、これまでにも同欄でこっぴどくやっつけられている。しかし、今回はいつもと少し勝手が違う。「精進していただきたいものだ」と結んでいるからだ。カバはぐっときた。師匠の服部進先生のことを思い出した。女史の言葉は、先生の啓示なのだ、と。生前、同人誌に小説を発表すると、いつも編集長の先生から丁寧な指摘と訂正個所のご教示をいただいた。そして、最後に決まって、「ご精進を」と書かれていた。
師匠が亡くなって、今日でちょうど二年半。玉鬘女史に感謝しつつ、毎日を「命、旦夕に迫る」という気持ちで精進することを先生の墓前に誓った。

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