カバの先日の高速道路の被災者支援制度に関するため息について、数少なくない読者からおしかりを受けた。「あれではカバは全国の動物園のカバを観に行きたいために、高速道路の無料化の被災者支援制度の適用を受けようとたくらんでいるのではないか」という指摘である。確かに、カバは大震災とそれに引き続いた停電によって受けたパソコンの故障、冷蔵庫の冷凍食料の解凍、懐中電灯の損傷等を理由に、国の高速道路無料化の恩恵を受けられるものなら、受けたいと考えていたのは事実である。そして、青森市に被災証明を発行してもらいたいと考えたのも事実である。しかし、青森市は頑として、青森市は被災地でもないし、被災者はいないというのだから、諦めかけていたのも事実であった。
7月28日に東日本高速道路(NEXCO東日本)が明らかにした、東日本大震災被災者を対象に6月に始まった東北地方の高速道路無料化で、無料走行に必要な被災証明書類の発行枚数が、青森県内の30市町村で約35万枚に及んでいるとの調査結果をみて唖然とした。県内においても停電だけで「被災」と認定した市町村が続出しているためだが、このうち青森市はわずかに300人程度にとどまっているとのことだ。県内では県民の26%の人が被災者として認定を受けているのに、青森市はわずかに0.1%だ。認定率だけとってみても、260分の1の低さである。しかも、青森市民の被災者本人の認定は0である。おかしくはないか。この格差は何だろうか。0.1%の認定者は、いずれも被災者ではなく、二親等以内の親族で被災地の被災者(死亡・行方不明者、住宅の全壊・半壊)を有する市民を被災者とみなして、認定した数である。
被災者本人として申請して却下された人のほかにも、被災者とみなしてほしいと申請したのに、親族が二親等以内でなかったり、住宅の損害が一部壊の証明しか得られなかったとの理由で証明書の発行を却下された市民も実際に多いという。
カバはあくまでこうした行政手続き上の問題と被災者本人支援制度としての高速道路無料化の国の措置をうける自治体の認識の問題を指摘したいだけである。青森市が被災者本人だけではなく、被災者を親族に持つ市民をも被災者とみなす独自の制度を実施するのなら、市費単独で行うべきだと思うし、そんな善政を行っていると自慢もできると思うのだ。しかし、今回は違う。国の制度の主旨は、住民本人が今回の震災で何らかの被害をうけたと住民の住む自治体が認定しさえすれば、東北地方の高速道路を発着して通行する場合に限って無料となるのだ。極端にいえば、東京はおろか、九州鹿児島まで無料なのだ。青森市内にはインターチェンジが3カ所ある。停電によって同じ程度の物品の損害をうけたのに、なぜ隣の平内町、外ヶ浜町の住民は高速道路を使うと無料なのに、親族に被災者のいない青森市民は有料なのか、という問題である。この制度の恩恵をうけるべき本当に困っている人(人にはそれぞれ事情があるので、二親等以内や半壊以上では割り切れない)
カバがこの問題を口にすると、温厚で心ねの優しい友人の多くは、そんなに高速道路無料化制度を悪用して自分の旅行のために使いたいのか、あとで増税のつけがまわってくるだけだ、とかの反論が返ってくるだけで、一向に耳を貸してもらえない。
そんなわけで、誰にも理解されないカバは、この制度が終わる来年6月まで高速道路を利用しない宣言をすることにした。どこかに出かけるのも、ゆっくりのんびり一般道路を走るのだ。東北と北関東の353万人の被災者証明を持つ運転者は、ちょっとしたところへ出かけるのにもわざわざ高速道路を利用するだろうからだ。一般道路なら好きなところに、好きなように寄れるし、それにインターの料金所での渋滞もない。証明書を使って高速道路無料化を悪用していると陰口をたたかれなくてもすむ。国や市からの施しも受けなくても済む。気分爽快だ。

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