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2012年10月19日金曜日

11月から時雨庵は再開とのこと

  昨日の昼の岩木山は静かで穏やかだった。外気も爽やかであった。スカイラインに通ずる県道に人の気配すらなかった。
 この三カ月、音信が途絶えていた湯段温泉の時雨庵に向かった。女将の身に何か起こったのかと心配だった。「時雨庵前」のバス停の脇に、女将の車が置かれていた。宿の玄関前はひっそりしていた。思い切って、車から降り、扉に手をかけた。鍵はかかっていなかった。
 「ごめんくださーい」声をかけてみた。
 「はーい」二階から細い声がした。ややあって、階段を降りる足音とともに白い割烹着姿の女将がやつれた顔で毛玉取りロールを片手にもったまま現れた。髪も白くなり、細身の体がさらに痩せて、眼のふちが赤かった。
 「検診で、胃癌が見つかり、9月に手術して、先週退院してきたばかり。電話もおとついからつないでもらったの」弱々しい声だったが、しっかりと11月から日帰り客を迎える用意をしていると答えた。癌は胃部にしかなく、転移もしておらず、3分の2の切除で術後の経過も順調で、あとは体力の回復を待つばかりだ、気を強くして言葉を選んで語るすがたにほっとした。

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