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2012年7月11日水曜日

一日に四冊読む

今日は4刷の本を読んだ。
 最初が、西村賢太の『一日』。これは芥川賞作家で、私小説書きの随筆集。私小説五人男として藤澤清造、葛西善蔵、田中英光、北條民雄、川崎長太郎を紹介している。とくに、藤澤清造については初めてその名を知った。『根津権現裏』を読んでみたくなった。だけで、西村賢太の私小説を読みたいとは思わない。何故か知らないが。カバは私小説作家にも慣れないことだけは、この随筆を読んでよくわかった気がした。
 二番目は、堀江俊幸の『燃焼のための習作』。これは実に不思議な小説だ。こだわりと感性の流れを饒舌な文体で、しかも段落がひとつの節になっているように書きつないでいく。それが不思議なリズムになって、だんだんふんわりとした気分で、少しずつ読む者を引きづり込んでいく。
 三冊目は、丸山健二の『ブナの実はそれでも虹を夢見る』。これもまた、ふしぎな文章だ。小説というより、庭とブナと自分を書いた読み物なのだ。エッセーにしては観念が入り過ぎるし、事実であるので、物語をつくってはいないのでエッセーとも違う感じがする。田舎ぐらしと都会生活、それぞれの想いをきちんと書きつくせる文章力には目を瞠った。さすがである。カバの書いた『エレファント・イアーを飲もう』がこの作品に比べ、いかに皮相的で短絡的であるか、よくわかった。
 奇しくも、作者三人は芥川賞作家である。資質も文学的センスも、感性も文体も、そして自省と覚悟もそれぞれ違う三人の作家の文章を読んでみて、つくづく文学とは奥こそ深いが、面白くて複雑なものだと、思い知らされた。
 四人目は、『原発と拳銃』というショッキングな題名に惹かれた、杉浦昭嘉である。プロの映画監督の小説第二弾だが、カバはこの作家はカバほどではないが、前三人に比べ未熟だと思った。この本を読んで、カバも原発のこと、とりわけ、大震災による福島原発事故のことを書く必要に迫られた。

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