7月6日東北弁護士会連合会の、「原子力利用は故意の犯罪」というテーマで小出裕章京都大学・原子炉実験所助教の講演会とその後の質疑応答形式のシンポジウムに参加した。
小出さんは、1945年7月16日(ポツダム会談「日本に敗戦・終戦を宣言させようとした」の日)に人類初の原爆実験をした(米国・ニューメキシコ州アラモゴルド)であるトリニティの写真を示して、原爆の威力の凄さに、つくったマンハッタン計画の関係者も驚いたことを明らかにした。日本の軍部が敗戦に応じず、本土決戦を決めたことが、最終的に8月6日の広島原爆と、9日の長崎原爆の投下につながったと、広島・長崎の原爆のキノコ雲と、両原爆の爆弾(広島はリトルボーイ、長崎はファットマン)の写真を示しながら核兵器の恐ろしさを話した。
天然ウランの組成は燃える(核分裂する)ウランU235が0.7%、燃えない(核分裂しない)ウランU238が99.3%となっている。天然ウラン鉱石をウラン鉱山から採掘し、それを製錬し、不純物を除いて転換工場で六フッ化ウランの粉末とする。このままでは、核分裂は起こらないので、ウラン235の割合を高めるのが濃縮である。これが濃縮工程であり、ウラン濃縮に要するエネルギーは濃縮された原爆のエネルギーより大きいというという問題が生ずる。だから商業用には濃縮はペイしないものだ。たとえば、30kgの高濃縮兵器級ウランに天然ウランを濃縮するのに要するエネルギーは50キロトン相当のTNT火薬のエネルギーであるのに、この30kgのウラン型原爆(広島型原爆)の爆発力は16キロトンのTNT火薬相当である。このように0.7%のU235を98%程度まで濃縮するのは大変である。
一方、原子炉で1個のウラン235原子核に中性子1個をぶつけて核分裂反応させると、核分裂生成物とエネルギーのほか、2~3個の中性子も飛び出してくる。このうち1個の中性子は別のウラン235原子に衝突して核分裂を起こさせ、残りの中性子を今度はもえないウラン238に吸収させるとウラン239となり、これがβ崩壊して半減期24分のネプツニウム239となり、このネプツニウムがさらにβ崩壊して天然には存在しないプルトニウム239になることがわかった。
このプルトニウム239を分離回収することで原爆に使おうというのがアメリカの原爆製造のマンハッタン計画である。マンハッタン計画とは、ウラン鉱石を採鉱して、精錬して濃縮して濃縮ウランとして広島型ウラン原爆を製造するのと、天然ウランを原子炉で核分裂させ、再処理してプルトニウムを回収して、長崎型プルトニウム原爆を製造する2つの計画である。ウラン濃縮過程で発生する劣化ウランとプルトニウム回収過程で発生する減損ウランはともに劣化ウラン弾とすることができる。

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