過去 1 週間のページビュー

2012年3月8日木曜日

アメリカの原子力防災

今日の東奥日報の社説は、アメリカの原子力規制委員会(NRC)の議事録公開によって明らかになった福島第1原発事故の日本政府の対応ぶりを批判している。
  「事故が発生した昨年3月11日から10日間にわたって、対応を話し合った電話会議の内容を自動的に録音したもので、米情報自由法に基づいて明らかにした。対して、日本では事故対応に当たった原子力対策本部など10組織で議事録が存在しないことが今年1月に発覚している。「記録を残し検証する」という公的機関としての使命を義務と考える米国とその当たり前のことが全くなされていない日本との認識の落差はもちろん、日本の組織としての危機管理の未熟さを露呈した形だ」と指摘している。
 そのうえで、「日本の政治家や官僚組織には歴史や失敗から学び、未来につなげるという基本的な考えが備わっていないのか。失敗隠しのために意図的に議事録を残さなかったのだとしたら、犯罪的ですらある」ともいう。
 カバは12年前の2000年5月、ワシントンのNRC本部を見学したことがある。原子力防災について調査に行ったのだった。大きなビルで、厳重な入庁管理のなかで、何回もボディチェックやら持ち物検査の上、ジュラルミンのエレベーターで薄暗い委員執務室にはいった。大統領に任命された5人の委員が常駐し、その中の委員長と大統領とは24時間ホットラインで結ばれているということだった。NRC本部には専任の専門職の他、4つの都市におかれている地方事務所と連携をとり、事故が発生した場合には、連邦緊急事態庁(FEMA)と連携をとり、事故対応に当たることになっていた。
 NRCは1974年に独立、公開、効率、透明、信頼の5原則を基本に規制を行い、米国内で核物質が使用される時に、公衆の安全と健康、国民の防衛と安全保障及び環境の保護を保証する目的で設立された。
 NRCは、1979年のTMI事故を受け、(原発や原子力施設の)緊急時計画基準を定め、州や自治体組織、電力会社の責任を明確にするとともに、緊急時計画の対象地域を定義した。
 米国における原子炉施設の緊急時計画は、次の二つに大別される。
 ① 事業者によって実施される施設内を対象としたオン・サイト緊急時計画
 ② 州政府、地方自治体によって実施される周辺自治体を対象としたオフ・サイト緊急時計画
 ①については、事業者が設置認可申請書である安全解析書の一環として、オン・サイト緊急時計画を作成し、NRCに提出、NRCはこれを審査する。②については、州政府・地方自治体が関係機関の調整を行いオフ・サイト緊急時計画を作成、これをFEMAが審査する。また、TMI事故後、原発の緊急時対策は、サイトの内外を併せて総合的に評価すべきとして、現在はNRCとFEMAでお互いの審査に助言を与えて連携をとっている。
 また、米国では緊急時計画区域(EPZ)として、発電所から半径10マイル(約16Km)の範囲の第1区域と半径50マイル(約80Km)範囲の第2区域が定められている。第1区域が避難や屋内退避等の防護対策の対象となる計画区域、第2区域が食物摂取制限、食物供給等の対象となる計画区域である。
 米国における緊急時対応における各関係機関の役割については明日にする。

0 件のコメント: