先日紹介した、いまから38年前に、カバの恩師が監訳者となり、カバと同じ院生であった(学科は違うが)小出裕章さんも翻訳に加わっているゴフマン教授とタンブリン博士の共著である『原子力公害-人類の未来をおびやすもの』という本の第8章「処理できない放射性廃棄物」には、以下の記述がある。
「原子力時代が後世に残していく(負の)遺産の一つが放射性廃棄物である。放射性廃棄物の処分についてあれこれ議論すること自体が間違っている。なぜなら、この廃棄物とはそもそも処分などできないしろものだから。それらは環境から隔離しておかねばならないものであって、その意味で「放射性廃棄物の保管」という問題として考えるべきである。現在作り続けている放射性廃棄物というものは、千年、いやそれ以上も長く環境から隔離しておかなければならないしろものなのである。私たちの子孫は、今日私たちが慎重にしろ、または廃棄物処分などという口実のもとにしろ、環境の中に放出している放射能によって悩まされるだろう。そして遺伝的影響の他に、放射性廃棄物の監視という犠牲を払わなければならなくなるだろう。1950年代と60年代の初頭にかけて、超大国であるアメリカ合衆国とソ連は、TNT火薬にして三百ないし四百メガトン相当の原爆実験を大気圏内で行った。これらの爆発で、セシウム-137とかストロンチウム-90とかいった長い寿命の放射性副産物が生み出された。その結果、これらに対する不安が高まり、世界的論争を引き起こすほどになった。セシウムとストロンチウムは環境の中に生物学的危険をもちこみ、その結果ほとんどすべての人々が、筋肉・骨などの組織の中に、これらの放射性核種をとりこんでしまっている。長い年月が経っても減衰しないこれらの核種によって土が汚染され、この汚染された土で育った食物もまた、世界中いたるところ汚染されている。大気圏内核実験禁止条約は、少なくともこの条約に調印した二つの超大国とその他の国々に関しては、これらの毒物がこれ以上放出されるのをくいとめた。しかし、三百ないし四百メガトンもの原爆からすでに放出された放射能は、世界にとって明らかにやっかいなものである。」

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