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2012年1月24日火曜日

核燃料サイクル施設の危険性

3・11東北大震災による福島第一原発事故(原発震災)から10カ月を過ぎ、いまなお日本、いや世界中を震撼させたあの衝撃と惨劇はおさまるどころか、いっそう深刻な事態を続けている。原子炉や放射性廃棄物・放射性汚染水の廃棄・撤去はおろか、汚染地域の除染、汚染物の除染・廃棄・撤去はままならず、新築マンション建材からの放射能汚染、農畜産物・林産物、海産物さらには粉ミルクにいたるまで、食品の放射能汚染の恐怖も広がっている。
 こうした中、これまで原発や核燃サイクルを推進してきた人たちの反省の言はまったく聞こえない。それどころか、福島第一原発の4基の原発を制御できずに四苦八苦していると言うのに、政府はこともあろうに、ロシア、ヨルダン、韓国、ベトナムなどと原子力協定を結び、新たに原発を輸出しようと企図している。
 また、このままでは4月に54基の原発がすべて停止してしまうことから、再稼働への布石を積み重ねようとしている。
 つまり、日本がこのまま原発から撤退すると電力不足になり、日本の産業はつぶれると公言する財界首脳が現れたり、原子力を保持しないと国際的な発言力が弱まると主張する国際経済学者さえいるありさまだ。原発を持ち続け、再処理政策を続けてきた日本は潜在的な核保有国であり、重要な軍事力の一つだと豪語する政治家さえいる。
 福島第一原発の事故により原発の保守、管理、緊急時対応が不可能であることが判明しているにもかかわらず、今後の方策をさけるように、またぞろ先祖がえりしている現状だ。その最たるものの一つが、青森県の原子力施設の安全対策に対する対応だ。福島第一原発の事故原因調査の報告がなされておらず、今後の対応や、全国の立地県、立地自治体が再稼働を認めていない段階で、青森県だけが突出して先走りをしているのだ。
 青森県は3・11に発生した「東北地方太平洋沖地震による東電・福島第一原発の事故に起因して、県民の国・事業者への不安がひろがっていたことから、県民の安全・安心を重視する観点から、国や事業者が講じた安全対策を独自に厳しく検証するため」として、2011年6月7日に「青森県原子力安全対策検証委員会」なるものを設置した。
 同委員会は、2011年11月3日まで都合8回の委員会審議を行い、東通原発に関してはストレステストの結果後に先送りし、その他の施設の安全対策についての検証結果としていくつかの補充的安全対策を指摘しただけの報告書を2011年11月10日に知事へ提出した。
 検証委員会の報告を受けた青森県は、ひきつづき県議会各派、さらには県内市町村長からの意見聴取を実施し、原子力事業者が実施した緊急安全対策について理解が得られたとして、2011年12月26日これらの安全対策を了承する旨の見解を表明した。
 このことは、六ヶ所再処理工場の試運転再開、東北電力東通原発の運転再開、大間原発・リサイクル燃料備蓄センターの工事再開に道をひらく事実上のゴーサインだとして、核燃料サイクル阻止1万人訴訟原告団など県内の反核燃・脱原発の数多くの市民団体などが県知事に対して抗議文を発出している。
 毎日のように明らかになる福島第一原発の事故にかかわる新事実や原発や核燃料サイクルに関する嘘や資料隠匿をみるにつけ、この国を食い物にしている「原子力ムラ」の実態に嫌気がさすが、まてよと気をとりなおして、先の「青森県原子力安全対策検証委員会報告書」を再読してみた。
 青森県企画政策部原子力施設安全検証室なる事務方が編集発行した報告書はA4版全126頁もの印刷物である。しかも、8回の委員会をへて、こんなに内容のないものを報告書にまとめる県当局と田中知委員長以下14名の委員の見識を疑うばかりだ。
 政府が緊急安全対策を指示していたのは、東北電力東通原発と日本原燃の核燃料サイクル施設のうち再処理工場とその関連施設のみであった。その他の原子力施設については、新規・建設中のものを含めて一時停止中であり、再開・再稼働の判断とは別物であるべき筈であった。
 しかるに、今回の報告書は、東通原発についてはストレステストの結果が判明する前であることから検証の対象外としているので、詳細な検討は再処理工場について行うべきであり、①使用済み燃料プールの沸騰、②高レベル放射性廃液の沸騰、③高レベル放射性廃液タンク内の水素爆発、についてより集中的、詳細な検討がなされるべきであった。実際の、ここでの検証は、燃料プールに現在保管されている約3000トン使用済み燃料に含まれる放射能量の全量、タンクに貯蔵されたままになっている290㎥の高レベル放射性廃液に含まれる放射能量の評価が全然なされておらず、リスクマネジメント(確率論的リスク評価)を先送りした検証に値しない内容となっている。
 しかも、同じ燃料プールの冷却水喪失による水素爆発を発生させた福島第一原発4号炉の事故解析についての知見が得られていない中での検証であり、県民がもっとも注目し不安を抱いているシビアアクシデントに対する検証は不十分なままとなっている。
 こうして、この報告書は本来検証すべき事項を先送りし、県内の全原子力施設の安全対策について概括的に事業者の報告を鵜呑みにしたものが多く、その結果として、全施設の安全対策をおおむね是としているものである。
 その結果として、再処理工場をはじめとして原子力施設の建設再開、再稼働を焦る県はこの報告書を錦の御旗として、事業者の進める事業再開へゴーサインを出す意向を自ら表明したものである。
 福島県民の嘆きと福島県の反省をよそに、青森県の進める暴挙はとどまるところをしらないが、それこそ破滅への道であることを知るのはいつのことなのだろうか。

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