カバに詩はわからない。カバの友人に二人の詩人がいる。宮園真木と佐々木英明だ。彼らの詩を読んだが、いいとは思うが、それを褒める術を知らない。
今日、書斎で雪を恨めしがっていて、ふと古い文庫本が目に入った。それが、『イエイツ詩抄』だった。
イエイツ詩抄のなかに、『緑の兜そのほか』をみつけた。カバにもわかるいい詩だった。
「酒の歌」
酒は口より入り
恋は目より入る、
我等老いかつ死ぬるまへに
確実に知るべきことはこれのみ。
われ杯を口に挙げ、
君を眺めて、嘆息す。
「時と偕に智慧はきたる」
葉は多けれど、根は一つ、
まだうら若く虚偽の多かりし日に
つねにわれ葉や花を日光に揺りぬ、
今ぞわれ真のなかに枯れゆかむ。
「ある詩人に寄せて」
私は人の説や人の詠じた詩を
讃めたので
この人たちを讃めるがよいと君は云う、
だが自分の蚤を讃めた犬がかつてあったろうか。
もちろんカバはイエイツのいう犬ではないし、宮園真木も佐々木英明も決して蚤ではない。
文学、とりわけ詩や小説で日本を救えるとは思えないが、老いかつ死ぬ前に、詩を読む楽しみと小説を書く慶びを与えてくれたのだけは確かだ。

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