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2011年1月28日金曜日

中国の悲劇

中国の長春にある東北師範大学人文学院という私立大学に4カ月いた。135人の学生に対し、日本語や卒業論文の指導に当たった。大学は1万人の学生がいて、市内の学生も含め全寮制であり、私の所属した日本語言文化学院は1学年が200人の定員で、4年まで800人の学生が日本語を専門に学んでいる。学費は年額13,000元、それに寮費が6人部屋で年額1,000元となっている。毎年、9月に全額納入することが義務付けられている。大半が一人っ子で、親の年収の半分が学費だそうだ。学生への仕送りは月1,000元が相場だから、子供のために親の年収のすべて費消される勘定だ。家族のすべての期待を背負って、子供たちはそれぞれの地域から都市の大学にやってくる。だから、親たちは食うや食わずで、大半が教育ローンを銀行や親族から借りて生活しているのだ。それだけ子供の教育には金がかかるのだ。もちろん、国立や準国立大学(省や都市がお金をだしている)の学費はもっと安い。しかし問題は、大学を卒業後の就職だ。吉林省の省都は長春だが、一流大学である吉林大学(学生数6万人)東北師範大学(学生数5万人)でさえも就職難であり、学部卒業だけでは優良企業や一流企業には就職できないので、いきおい大学院修士課程に進学する傾向となっている。大学院に進めば、それだけ金がかかるということになる。私が教えていた135人の学生のうち、男子学生は23人だ。だから、女子学生は112人で男女比は1対5である。みな、将来に対する漠然とした不安を抱えている。就職問題だ。親が党幹部や政府関係職員、さらには一流企業の管理職の場合は、みな何とかなると比較的暢気なのだが、それ以外の大半の学生はほんとうに就職できるのか心配なのだ。しかも、就職について大学側は一切面倒をみないのだ。履歴書についても、大学側の用意した書類に記入させるだけで、とくに日本企業の特徴について説明することなどしないのである。すべて、学生が就職説明会に自力で出席し、そこで面接をうけるというやり方であり、大学はその後についても関知しない。4年生になった9月に卒業までの授業料など納入さえしてあれば、あとは卒業論文さえだせば、学位を与えて終わりである。4年の後期(3月から7月)は授業はなく、8月の卒業式まで就職活動やインターンシップをすることになっている。私が卒論を担当した8人の4年生のうち、大学院進学予定は4人で、3人が筑波大学の研究生から大学院受験を目指し、あとの一人は隣の東北師範大学の大学院を目指していた。4人の就職希望者のうち、ひとりは就職をあきらめ、日本の大学院留学予備校に行くことに決めていた。残りの3人の就職は昨年末までに決まってはいない。
このように中国の悲劇は、一人っ子政策により、大学進学率が高くなったものの、その大学生の就職問題が失業者の増大とともに深刻となっていることである。

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