カバは福島第一原発の第1号機と第3号機の爆発シーンを映像で見て、これはチェルノブイリ原発の事故以上でないかと思った。カバは1986年のチェルノブイリ原発事故の12年後に四号機の石棺を観てきた。展望所の放射能計測器はかなり高い放射能値をその時もまだ示していた。
カバは日本の原発でも、チェルノブイリ級の原発事故を想定して、その惨劇は日本を沈没させるくらいのダメージを与えると指摘してきた。原子炉から使用済み核燃料や一次冷却水が漏れることがあれば、汚染は日本中を恐怖にさらすと吠えた。
しかし、カバの叫びは、オオカミ少年ならぬ「カバの遠吠え」として冷笑され続けてきた。2001年にカバは自治労から仲間とともに「新原子力防災ハンドブック」を出して、1999年のJCO臨界事故を教訓にして、新たな原子力防災の必要性を喚起すべく改訂版を発行して、日本のすべての自治体に対して発信した。日本の原発や核燃料サイクル施設は安全だとの神話を盾に、政府も自治体も、原子力施設を抱える住民ですら一顧だにしなかった。
カバは原発や原子力施設から敷地外に放射能が検出された場合、その施設の50マイル(80キロ)圏外に避難すべきとのアメリカの指針をもとにEPZ(防災対策を重点的に実施すべき地域)を80キロとすべきと主張した。しかし、JCO臨界事故後においても、防災指針でのEPZは原発の半径8から10キロ圏のまま据え置かれた。オバマ大統領が、この事故後に80キロ圏外にアメリカ人を避難させる措置をとったこととあわせ、日本の対応にカバは憤りを感じている。
いつから、日本人は放射能にこれほど鈍感になってしまったのだろうか。自然放射能と自然界に存在しない核分裂生成物の放射能と何がどのように同じだというのだろうか。二度も原爆の洗礼を受けた国民とは到底思えない。日本人と日本国を破滅に向かわせる原発を建設し、稼働させたのは、いったい誰なのだろうか。日本人は、いまこそ冷静に、こうした事態は、どうして起こったのかをきちんと考えなければならない。地震・津波・原発事故、この三つが重なった大震災のほんとうの災害はこれからやってくる。そのときの覚悟ができているのだろうか。そのことを想うとカバは眠れないのだ。

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